2007年5月29日火曜日

The Stolen by Alex Shearer ☆☆☆☆☆

学校の書棚にあった本で、"thrillingly unexpected twist"という宣伝文句に惹かれて読んでみましたが、なかなか面白い本でした。(注意:この先一部ネタばれです。) 主人公Carlyが通う学校にMeredithという大人びた転校生が来る。仲良しの友達もいない一人っ子のCarlyは、Meredithや彼女のおばあさんGraceに興味を持つが、ある日、Meredithのおばあさんに自分は本当はMeredithで、魔女に身体を入れ替えられてしまったこと、Meredithのふりをしているのは本当は魔女なのだと打ち明けられる。Carlyは何とか本物のMeredithを助けようとするが、逆にCarlyも魔女にだまされ身体を奪われてしまう。。。というのが、物語の前半の展開。多分Carlyよりも魔女のほうが一枚上で、だまされて身体をとられてしまうだろうとは予想していたけれど、そのとられかたが確かにunexpectedでした。私は魔女に身体をとられたMeredithが今度はCarlyを犠牲者にして身体を取り戻そうとしたのだろうと予想したけれど、違いました。でもおかげで期待が裏切られて面白みが増しました。
でも、この物語に深みがあるのは、単に魔女との戦いだけではなくて、一つには現代の社会で老人がどのように扱われているかの風刺にもなっているからだと思う。身体は老い、体力では若い人間相手にかなわない。社会からやっかいもの扱いされ、老人ホームでは虐待に近い処遇に甘んじている多くの人たち。若さを失い、老人の立場になって初めてそんな状況に気づかされる。もう一つ、Carlyは、12歳でいきなり老齢のおばあさんの身体と入れ替えられてしまい自分の生を生きずに老い、いつ死ぬともわからない不安にかられながら生きるという経験をするが、現実にも病に倒れ、生を全うできない多くの人たちがいる。自分の意志とは関係なく身体を奪われる不条理さはCarlyのケースも病に倒れた人も全く同じだ。そういう意味では、魔女=病と捉えることもできるだろう。そんなことを考えさせられる作品でした。また読みたい作家が増え、大収穫です。 2002年作。 262ページ。87,000 words(評価:☆☆☆☆☆)

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